円盤紀行

レコードに関わるいろんな人のお話

バックミラー越しの接吻

あっ、この写真知ってる…。



久しぶりのデートの途中でどうしても寄りたいところがあるから30分だけ付き合ってと言われ、レコードを最近聴きはじめた彼につれられ新宿のとある中古レコードショップへ。
初めてのレコード店は所狭しと置かれた商品と無言で次から次へと猛スピードで物色する数人の客(あれで本当に確認できているのだろうか?そしてコツッコツッと落としているが商品は大丈夫なのだろうか?傷付いたりしないか心配になってしまった。)、そしてそれを真似しようと四苦八苦している彼。


普段からあまり音楽に興味がない私は時間をどう潰そうかと考えていた。
書籍のコーナーに行ってみると「ビートルズ全詩集」「マイルス・デイヴィスの真実」「オアシス〜グローリー・デイズ」等こちらも意味不明なタイトルの本が並んでいる。


ざっと1周し入り口近くの棚に戻ってきた。
右側には「ブリティッシュロックA」と書かれたタブが。
その後には「B」「C」…と続いている。
反対の棚には「Jazz Sax」「Jazz Trumpet」…。


壁一面にはいろんなレコードのジャケットが飾られている。
そのうちの1枚に見覚えがあった。
カメラが趣味の父の本棚にあった写真集の中の1枚。
車のバックミラー越しに映る口づけを交わす男女。
中学2年生の時に見て淡い憧れを持った写真だった。
一瞬だがその頃片想いしていた同級生のことを思い出した。
このレコードジャケットが写真集に載っていたのか、また元々有名な写真をジャケットとして採用したのか解らないが、ちょっとほっこりした気持ちになった。


数秒間か数分かわからないがぼーっとしていたが新しく入ってきた客の邪魔になっていると気づき我に返る。
その時目に入ったのが「視聴できます。スタッフまで気軽にお声がけください」という手書きの案内書だった。


彼はまだ夢中でレコードと格闘している。
恐る恐る懐かしの写真を手に取ってみる。
意外と軽い。
「すいません、コレって聴かせていただく事できますか?」緊張しながら店員さんに頼んでみる。
店員さんは嫌な顔もせず「はい」とだけ言って写真をとりあげカウンターの向こうへ。


今までかかっていたジャズ(多分そうだと思う)がブツっと切れ、しばらくして流れてきたのはゆったりとしたアコースティックの綺麗な音(それくらいは分かる)。
その音に重なり優しくて包み込まれるような女性の歌声。
なんて素敵な音楽!
写真ともぴったり!
英語の歌なので内容はよく分からないけど悲しい歌ではないことは分かる。
いや、もっと崇高な内容なのかもしれない(勝手な解釈ですが)。
コレ買っちゃおうかな。
今日彼の部屋で聴かせてもらおう…。


Fairground Attraction / The First Of A Million Kisses

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